脂肪を脂肪に置き換えてコレステロールを改善!?

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はじめに

毎日の食事に欠かせない「脂肪」は、健康に大きな影響を与えます。特に、飽和脂肪酸と不飽和脂肪酸の違いを理解することは、心臓病や生活習慣病の予防に直結します。例えば、飽和脂肪酸を5%不飽和脂肪酸に置き換えることで、心血管疾患のリスクが最大10%も低減するという研究結果があります。「脂肪の置き換え」がどのように私たちの健康に影響を与えるのか、具体的なデータを交えて解説していきます。

脂肪とは?

脂肪は私たちの体にとって重要なエネルギー源であり、細胞の構成成分でもあります。1gの脂肪は約9kcalのエネルギーを提供し、炭水化物やタンパク質の2倍以上のエネルギーを蓄えています。脂肪は主に「飽和脂肪酸」と「不飽和脂肪酸」に分けられ、それぞれ体に与える影響が異なります。

飽和脂肪酸とは?

飽和脂肪酸は、主に動物性食品に多く含まれる脂肪の一種です。肉の脂身やバター、チーズ、卵などに豊富に含まれており、常温で固体の状態を保つ特徴があります。摂取量が過剰になると、血中の「悪玉コレステロール」(LDLコレステロール)の増加を引き起こし、動脈硬化や心臓病などのリスクを高めることが知られています。例えば、飽和脂肪酸を1日に10g多く摂取すると、心血管疾患のリスクが約8%増加するとの研究結果もあります。

また、飽和脂肪酸は体内での代謝にも影響を与え、内臓脂肪の蓄積を助長する可能性があります。特に、動脈を詰まらせる原因となる「アテローム性動脈硬化」を進行させるリスクがあり、これが心筋梗塞や脳卒中の原因となることもあります。

研究によると、飽和脂肪酸を多く摂取した場合、血圧や血糖値にも悪影響を与えることが分かっています。これらの影響は、長期的に見ると糖尿病や高血圧のリスクを高める要因にもなりえます。例えば、飽和脂肪酸の摂取量を1日に5g減らすだけで、心疾患のリスクを最大で10%減少させることができるというデータもあります。

日本人の飽和脂肪酸の摂取量は、一般的に基準値を上回っています。厚生労働省が定める食事摂取基準によると、成人男性の飽和脂肪酸の1日の摂取目標量は約17g、成人女性では約15gとされています。

一方、日本人の実際の摂取量は、この目標を超えていることが多いです。例えば、厚生労働省が実施した調査によると、日本人男性の平均摂取量は約20g、女性は約17g程度と、男女ともに2~3g過剰に接種していると報告されています。

不飽和脂肪酸とは?

不飽和脂肪酸は、主に植物性や魚類に多く含まれる健康的な脂肪です。これにはモノ不飽和脂肪酸とポリ不飽和脂肪酸の2種類があります。モノ不飽和脂肪酸は、オリーブオイル、アボカド、ナッツに多く含まれており、心血管疾患の予防に有効だとされています。ポリ不飽和脂肪酸は、魚や種子類に豊富で、特にオメガ-3脂肪酸が有名です。オメガ-3脂肪酸は、心臓の健康をサポートする重要な栄養素として注目されています。

研究によると、不飽和脂肪酸を積極的に摂取することで、心血管疾患のリスクを最大で20%減少させることができます。血中の「善玉コレステロール」(HDLコレステロール)が増加し、「悪玉コレステロール」(LDLコレステロール)の減少を促進します。これにより、動脈硬化を防ぎ、心臓病のリスクを低下させることができるのです。

また、オメガ-3脂肪酸は、炎症を抑える効果や、血圧を下げる働きがあるとされています。週に2回以上の魚の摂取が推奨されており、これによって血圧が改善され、心血管疾患の予防につながることが証明されています。

不飽和脂肪酸は、飽和脂肪酸と比べて健康的な脂肪として知られていますが、とはいえ摂取量には注意が必要です。過剰に摂取することはカロリー過多になり、体重増加の原因にもなり得ます。

日本人の不飽和脂肪酸の摂取量は、一般的に推奨される基準値に達しているか、それを超えることが多いです。一方で、厚生労働省が定める食事摂取基準によると、全体の脂肪摂取量の約70%を不飽和脂肪酸から摂取することを目標としていますが、日本人の多くは水準以下です。

飽和脂肪酸から、不飽和脂肪酸への切り替えの重要性

飽和脂肪酸を不飽和脂肪酸に切り替えることは、健康を維持するために非常に重要です。研究によると、飽和脂肪酸を5%不飽和脂肪酸に置き換えるだけで、心血管疾患のリスクが最大で10%も低減することが示されています。

また、食事で摂取する脂肪の質を改善することで、体重管理にも役立ちます。不飽和脂肪酸は、満腹感を長時間維持するため、過食を防ぎやすく、健康的な体重維持をサポートしてくれます。さらに、飽和脂肪酸を減らし、不飽和脂肪酸に切り替えることで、内臓脂肪が減少し、健康的な体型を維持しやすくなります。

もう一つのメリットは、認知機能の向上です。オメガ-3脂肪酸を豊富に含む不飽和脂肪酸は、脳の健康にも良い影響を与えることが知られています。研究では、オメガ-3脂肪酸の摂取が記憶力の改善や認知症予防につながる可能性があるとされています。

最後に、美容に関心のある方は必見ですが、不飽和脂肪酸は肌の健康にも寄与します。皮膚細胞を構成する脂肪酸を豊富に摂取することで、肌の保湿力が向上し、乾燥肌やしわの予防にも効果的です。

おすすめの切り替え方

飽和脂肪酸を減らし、不飽和脂肪酸を増やすための実践的な方法を紹介します。

サラダ油やバターをオリーブオイルに

料理に使う油をバターからオリーブオイルに変えるだけで、不飽和脂肪酸の摂取量を大幅に増やすことができます。オリーブオイルにはモノ不飽和脂肪酸が豊富で、心臓の健康をサポートします。

週に2回は、肉の代わりに魚を食べよう

また、脂肪分の多い肉を頻繁に食べることは避け、代わりに魚を取り入れましょう。特に、サーモンやマグロなどの脂の乗った魚は、オメガ-3脂肪酸を豊富に含んでいます。週に2回以上、魚を食べることで、血圧の低下や心血管疾患のリスクを低減できることが分かっています。

おやつにナッツを食べよう

さらに、間食にはナッツを選ぶことをおすすめします。アーモンドやくるみ、ピスタチオなどは、モノ不飽和脂肪酸やポリ不飽和脂肪酸が豊富で、健康的な脂肪源として優れています。1日に一握り(約30g)を食べることで、必要な脂肪酸を効率よく摂取できます。

ジャムをアボカドに切り替えよう

アボカドは最強の不飽和脂肪酸源です。アボカドはモノ不飽和脂肪酸を多く含み、サラダやトーストに追加することで簡単に摂取できます。毎日の食事にアボカドを加えることで、健康的な脂肪を取り入れることができます。

ドレッシングを市販から自家製に切り替えよう

サラダのドレッシングには意外と飽和脂肪酸が多く含まれています。ドレッシングを自家製にして、オリーブオイルやレモン汁、ハーブを使うことで、健康的に仕上げられます。

執筆者の感想

飽和脂肪酸から、不飽和脂肪酸は、同じ脂肪でも役割が全く異なるものなんですね。
私の母は昔から健康志向が強く、記事にあるのと全く同じ、オリーブオイルとレモンとハーブ、胡椒の自家製のドレッシングを作っていました。味がさっぱりしすぎていてあまり好きではなかったのですが、論文を読んで、家族の健康を考えてくれた優しい味だったんだなと思い直しました。

また、ナッツはおやつや酒の肴として最高ですね。最近腹回りの浮き輪肉が存在感を増しているので、取り入れたいと思います!
ぜひ皆さんも何か一つでも試してみてくださいね⭐️

参考文献

  • 厚生労働省 (2020). 食事摂取基準(2020年版). 厚生労働省。
  • American Heart Association (2021). Dietary Fats and Cardiovascular Disease: A Presidential Advisory From the American Heart Association. Circulation, 143(21), e1025–e1043.
  • Harvard T.H. Chan School of Public Health (2020). The Nutrition Source – Fats and Cholesterol.
  • Mozaffarian, D., & Wu, J.H.Y. (2011). Food patterns and cardiovascular disease risk: A review of the scientific evidence. Circulation, 123(4), 431–441.
  • Lichtenstein, A.H., & Appel, L.J. (2007). Dietary fat consumption and risk of cardiovascular disease: A review of current evidence. American Journal of Clinical Nutrition, 85(5), 1221–1225.

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