イカリア島の魅力
イカリア島は「ブルーゾーン」として知られ、世界でも特に長寿が多い地域です。この小さな島は、ギリシャのエーゲ海に位置し、住民の平均寿命は80歳を超えることが一般的です。世界各地で注目されている理由は、島の温暖で豊かな自然環境と、ストレスの少ない生活習慣にあります。イカリア島の住民は、地域コミュニティとの絆を大切にし、伝統的な地元食材を使った食事を取ることで健康を維持しています。例えば、オリーブオイルや新鮮な野菜、魚が豊富に摂取されることが、健康長寿の要因として挙げられます。加えて、イカリア島は他のブルーゾーンと同様に、日々の運動や安定した社会的つながりが健康維持に寄与しています。
イカリア島の歴史
イカリア島は、神話に登場するイカロスの故郷としても知られ、ギリシャ神話においては、太陽神ヘリオスの神殿があった場所とされています。歴史的には、ローマ帝国やビザンティン帝国、さらにはオスマン帝国の支配を受けてきましたが、地域住民は独自の文化を守り続けました。
近代に入ると、イカリア島はギリシャ独立戦争にも関与し、オスマン帝国からの独立後は地域の発展と共に漁業や農業が中心となり、島の経済を支える重要な産業となりました。
第二次世界大戦中はイタリア軍とドイツ軍に占領され、島民はレジスタンス運動を展開。戦後、ギリシャ領となり、経済の復興が進みました。20世紀後半からは観光業が発展し、島の美しい自然が観光客を引き寄せました。現在でも伝統的な漁業や農業が重要な役割を果たし、観光業と共存しています。
イカリア島で暮らす、平均的な1日の生活
時間帯 | 平日 | 休日 |
---|---|---|
6:00 | 早朝に目覚め、家畜の世話や畑仕事を始める。体力的にきつい仕事も多いが、朝の涼しいうちに作業を終わらせる。 | 少し遅めに起床。朝のコーヒーを楽しみながら、家族と会話を交わす。軽いストレッチや散歩をすることも。 |
8:00 | 漁に出るか、農作業を続ける。島の経済は漁業と農業に依存しており、重労働が続く。昼に向けて休憩を取る時間も。 | 特に予定がない場合は、近隣の友人と過ごす。自然を楽しんだり、家の掃除をしながら一日を始める。 |
12:00 | 地元の食材を使った軽い昼食を摂る。仕事が忙しく、時には食事の時間がずれることも。食事の後、少しだけ昼寝をすることが多い。 | 家族と一緒にゆっくりと昼食を取る。新鮮な野菜やオリーブオイルを使った伝統的な料理を楽しむ。午後の予定を考える。 |
14:00 | 午後の作業が続く。漁に出たり、畑を整備したり、手を休めることなく働き続ける。暑さが厳しくなることも。 | 友人と集まり、カフェでくつろいだり、ビーチでリラックスする。生活のペースが平日とは異なり、余裕を感じる時間。 |
18:00 | 一日の仕事を終え、家族や近所の人と軽く会話を交わす。夕食を準備しながら、今日の疲れを癒す時間。 | 夕食を家族と共に楽しむ。特に週末は地域の集まりに参加したり、友人宅で食事を共にすることも。 |
20:00 | 一日の疲れを感じながらも、家でゆっくりと過ごす。時にはテレビを見たり、日常の小さな悩みを家族と話す。 | 夜空を眺めながらリラックス。家族との時間を楽しみ、早めに寝ることが多い。島の生活は日没が早い。 |
イカリア島の食文化
イカリア島の食文化は、健康的でシンプルな地元の食材に支えられています。特にオリーブオイルは、島の食事に欠かせない基本的な食材であり、島民は年間で約25リットルのオリーブオイルを消費すると言われています。新鮮な野菜、ハーブ、魚、豆類が多く取り入れられ、特に魚料理は豊富です。イカリア島では、伝統的な「ストリフティ (Striftari)」や「ラフマニコ (Lahanodolmades)」など、島独自の料理も楽しめます。食事は家族や友人と共に取ることが多く、ゆっくりと時間をかけて味わうことが特徴です。また、地元で作られるワインやハチミツも、食卓に欠かせない存在です。
画像はラフマニコ (Lahanodolmades。
キャベツの葉で米やひき肉、香草を包んだ料理で、イカリア島では特に家庭料理として親しまれています。ヘルシーで満足感のある一品です。
社会的つながりとコミュニティ
イカリア島の住民は、日常生活の中で密接に関わり合っています。島では、特に高齢者が中心となってコミュニティ活動を推進し、日々の交流が豊かな社会を築いています。例えば、朝市や集会所での雑談は、島民にとって日常的な社交の場です。仕事の合間や夕方には、近所の人々が集まり、作業の手伝いや情報交換を行います。このようなコミュニケーションは、孤立感を減らし、心身の健康を保つ重要な要素となっています。さらに、家族間の絆も強く、複数世代が一緒に生活することが一般的です。食事や休日の時間は、家族と共に過ごすことが多く、地域全体が一つの大きな家族のような感覚を持っています。
日本人に活かすイカリア島のライフスタイル
島民はストレスを避け、自然と調和した生活を送ることが長寿の秘訣とされています。例えば、仕事と休息のバランスを重視し、昼寝を習慣にすることで、ストレスホルモンのレベルを下げ、心臓病のリスクを減らしています。昼休みに少し仮眠を取ることで、集中力を上げるだけでなく、健康リスクを下げることができます。
食事の面では、他の地域を紹介した際もお伝えしましたが、加工品をできるだけ避け、魚や野菜類を中心とした食生活がおすすめです。
外食の際になるべく魚料理や野菜を使った小鉢を選ぶなど、できることから始めていきましょう。
執筆者の感想
「ブルーゾーン」最後の地域はギリシャ領・イカリア島でした。
ギリシャには3,300もの島がありますが、その中でもイカリア島は比較的観光が少ないため、ゆったりとしたペースで生活が営まれているようです。
ここまで「ブルーゾーン」の主な5つの地域を紹介してきましたが、どこも温暖で、野菜や魚中心の料理で、散歩やアクティビティができる自然環境が近くにあり、地域のコミュニティの繋がりが強いという共通点がありました。
これらが長寿に影響していることは間違いないと思いますが、私たちがすぐにできることで言えば、近くの自然に少しでも触れ、野菜や魚をなるべく選択するようにすることが第一歩でしょう。
個人的に環境のせいにできないと感じるのは地域のコミュニティで、気心の知れた友人や家族となるべく共にいる時間を長くしていきたいと思っています。
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